Machitabi Voices 01

夙川の洋菓子店「エルベラン」
柿田衛二さん

夙川で愛されて50余年

夙川で52年続く老舗洋菓子店「エルベラン」の二代目。父の衛さんが1964(昭和39)年に創業しました。衛さんは元和菓子職人。「これからは洋菓子の時代がくる」と神戸の洋菓子会社に転職し、28歳で独立。店名は当時、洋菓子の本場だったドイツのエルべ川から付けたそう。
衛二さんが幼い頃は店舗の2階が住まいになっていて、「職人さんによく遊んでもらいました。クリスマスの時期にはケーキの箱を組み立てたり、イチゴのヘタを切ったりして手伝いましたね」。

仏・ブルターニュで学ぶ

そんな衛二さんが家業を継いだのは自然な流れのようにも思えます。大学卒業後の4年間は菓子会社に勤め、仏・ブルターニュ地方の国立製菓専門学校で学びます。現地店舗のスタッフとして働く貴重な体験もしました。
「フランスでは3代、4代と続いている店が珍しくない。目新しいものではなく昔ながらのケーキが愛されている。食文化とはこういうものかと感動しましたね」。

二代にわたるこだわり

日本に洋菓子が本格的に誕生してから100年ほど。今は「スイーツ」と呼ばれ、ファッションのようにブームとなったお菓子も次々登場していますが、「エルベラン」ではレモンパイ、プリントルテ、エンゼルケーキなど、創業時からのものが今も6~7割を占めます。50年前の洋菓子界はバタークリームが主流でしたが、衛さんは「生クリーム一本で勝負」。合成甘味料、合成エッセンスを使わず、素材の味を活かしてきました。
そのこだわりは衛二さんも受け継ぎます。大山牧場で指定して作ってもらっているという生クリームはサラリとした口当たり。「『まちたびにしのみや』の企画で参加者の皆さんに生クリームをそのまま飲んでいただきました。牛乳のような飲み口で驚かれますね」。

思い出を越える味に

「まちたびにしのみやには2011(平成23)年のスタート当初から参加・協力し、スイーツファンの声に応えています。洋菓子を食べ、贈るという西宮のご家庭に支えていただいて『エルベラン』は続いています。三世代でおつきあいのあるお客さまも多いですね」。子ども時代に食べたケーキを、今も楽しめる幸せ。「ただ、昔の味は美化されるんですよ(笑)。なので、思い出を越える味を作ろうと、実は少しずつ改良しているところもあるんです」。

洋菓子研究会

2011(平成23)年には市内のパティシエが集まり「にしのみや洋菓子研究会」を設立。「技術の公開や交流を積極的にすることで、お互いインスパイアされ刺激し合えます」。西宮の日本酒・酒粕を使った新しいスイーツの開発や、洋菓子フルコースでの園遊会といったイベントなどを手掛け「ケーキ工房のあるまち西宮」を発信します。
各店で修業する20・30代の若手職人らによる「ジュニア研究会」も発足。次世代育成にも心を配ります。「若い世代ならではの仕事の悩みなどを話してるのかもしれませんねぇ(笑)。でも、そういう場も必要なんです」。

夙川の良さは

「夙川は和洋折衷、古いものと新しいものが混在しながらもなじんでいる。震災(1995(平成7)年)で一変した風景もありますが、そういった良さは変わらないと思います」。
多くの著名人にも愛される有名店ですが、地元に根差し一人ひとりの思い出に寄り添いながら60年、70年へと続いていくのでしょう。

エルベラン

西宮市相生町7ノ12 阪急夙川駅北口から徒歩2分。営業9時~18時。火曜定休。
水曜はクッキーデー
10:00〜12:30・13:00〜16:00はギフト商品のみの販売
TEL:0120-440-380